摩擦圧接とは
摩擦圧接法とは、接合する部材(たとえば金属や樹脂など)を高速で擦り合わせ、
そのとき生じる摩擦熱によって部材を軟化させると同時に圧力を加えて接合する
技術です。従来行われているアーク溶接やガス溶接等と比較すると、摩擦熱以外
の熱源を必要としないこと、溶接棒やフラックスが不要であること、接合時にガ
スやスパッタが出ない事などから自然環境にやさしい接合法といわれています。
摩擦圧接法が我が国の生産工場に導入されて既に40年余り経過し、現在ではさ
まざまな産業分野に導入されています。
しかしながら、その技術の本質を知ることなく安易にこれを用いることは、技
術水準の向上を望めないばかりでなく、かえって不良品ばかりを生産することに
なりかねません。 以下に、摩擦圧接法の長所と短所・問題点を記します。
長 所
- 比較的簡単な作業で寸法精度の高い製品が得られる。従って、仕上げ加工を施した部材の組み立て接合が行える。
- 接合結果に高い再現性がある。
- 用途に応じて種々の異種材料(ステンレスと軟鋼、ステンレスと銅など)を組み合わせて接合できるため、優れた性能の製品が得られる。
- アーク溶接では接合が難しい一部の材料についても、摩擦圧接で接合できる。
- 鍛造などに比べて振動、騒音が少ない。
- スパッタ、ヒューム等が生じないので、他の工作機械と組み合わせた一貫ラインが編成できる。
短 所
- 少なくとも一方は円形断面(または円形断面に近いもの、正多角形など)でなければならない。
- 接合する部材は高速回転に耐え得るものでなければならない。
- 強大な回転トルクに耐えるチャッキングができないもの、たとえば極めて薄肉のものには適用できない。
- 衝撃強さが劣る場合がある。
摩擦圧接機の種類
摩擦圧接機の駆動源は、大別するとサーボモータ式と油圧式に分けることができます。その特徴を下記に示します。
サーボモータ式 | 油圧式 |
高速度位置決めシステム
異常制御の把握
高速・高トルク
フィードバック制御のため低速でも高速でも滑らかに駆動
どんな条件でも一定出力(気温、湿度など)
設備価格が高い
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構造がシンプル、コンパクト(安価)
動力を蓄積でき、モータ動力以上に高速駆動
集中油圧装置で高い動力効率
速度などが多少変動
エネルギー効率が低くなる
油漏れ問題による環境問題、作業環境問題
ISO14000(廃油)に伴う動作油問題
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また、摩擦圧接機の構造にはブレーキ式とフライホイール式があります。
ブレーキ式
フライホイール式
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